本のなかでイチバン良かったのは、『ヒア ア
フター』と『洋菓子店コアンドル』の2本。
映画の作り手のなかには、「神」になって登
場人物をコマのように動かして物語を完結に
導こうとする人がいる。実際はどんな作り手
もそうなのかもしれないが、クリント・イー
ストウッドは、それを登場人物たちが勝手に
動いているかのように錯覚させるのがうまい。
『ヒア アフター』は、そういう錯覚を強く感
じる映画だと思う。
『洋菓子店コアンドル』も、登場人物たちに
意志を持たせて勝手に動かそうとしている映
画だと思う。映画の作り手っていうのは、こ
の人物ならどういうことを考え、どういう行
動を取るんだろうか、ってことを詰めるんだ
と思うけど、『洋菓子店コアンドル』の作り
手は、それが丁寧だ。
***2011-2月に見た映画***
【◎本命】
KG カラテガール
洋菓子店コアンドル
ヒア アフター
トスカーナの贋作
◇『トスカーナの贋作』は、一度流れに乗
ると、とても心地良い映画だった。会話
がどんどん陳腐な男女のやりとりになっ
ていくのに、逆の印象を与えていく。
【○対抗】
毎日かあさん
幸せの始まりは
パラノーマル・アクティビティ2
世界のどこにでもある、場所
MAD探偵
私の愛、私のそばに
恋とニュースのつくり方
◇『MAD探偵』は、2007年の映画って
ところがひっかかるけど、面白かった。
イーストウッドとは逆に、作り手の猛烈
な神性を感じさせる。
【▲単穴】
ワラライフ
心中天使
◇『ワラライフ』は、そんなにキライじゃ
ない。この映画のコンセプトを批判でき
るほど立派な邦画は、最近作にはない。
『心中天使』もそうだが、こういう現実
的感覚から離れた映画も、あっていいと
思った。
【△連下】
カンフー・サイボーグ
ティーンエイジ・パパラッチ
ナルニア国物語 第3章
死にゆく妻との旅路
◇『死にゆく妻との旅路』には、「泣かせ
よう」って考えてる部分があるような気
がする。それがちょっと嫌だ。『ナルニ
ア国物語 第3章』は3Dにしちゃった
ところが、かえってマイナス。
【×穴】
英国王のスピーチ
◇つまらないと思う。今までの英国王室礼
賛の映画との違いがわからない。軽妙な
ユーモアの積み重ねも好きじゃない。第
二次世界大戦には、こんなに素敵なエピ
ソードがあったんだーって思わせるつも
りなのか? そういう意味で最悪の内容。
【切り】
僕と妻の1778の物語
ウォール・ストリート
イチジクコバチ
ケータイ刑事The Movie 3
ザ・タウン
リセット
SUCK
あしたのジョー
◇『イチジクコバチ』は、安易な結末だっ
たと思う。誰も死なない『イチジクコバ
チ』が見たいなと思った。
【競走除外】
ジーン・ワルツ
◇論外。
**以上、今月は27本でした。