【内容の詳細に触れていますから、映画を見ていないなら注意してください。念のため。】
**映画館が自粛モードで、夜遅くの上映を
しなくなった。仕事が終わってから映画を見
にくくなった。いつまで続くんだろ。ちょっ
と今日は帰らないといけないんです、って言
って仕事抜け出して新宿武蔵野館で『トゥル
ー・グリット』見に行った。
アカデミー賞を派手に逃した話題作だから、
人がたくさんいた。しかしね、整理券1番な
んだよふふふふ。朝、会社行く途中にわざわ
ざ寄って整理券撮ったんだもーーん!
朝の武蔵野館は面白い。受付のおねーさんた
ちが一斉に整理券のナンバリングをタンタン
打っている。「仕事ができる」感じだ。
仕事抜け出して駆けつけたから、お腹が減っ
た。ビールは買ったんだけど。売店を見たら、
スナイダースのプレッツェルを売ってた。ハ
ラペーニョ味を買ってみた。…からーい、で
も、うまーい。
マッテイ・ロス役の女の子は、顔を下から上
に見上げるように撮られることが多い。だか
らやけに鼻の穴が目立つ。ストーンヒルとの
交渉の場面が印象的だ。ラビーフと寝室で相
対する場面も、ベッドに寝たままの顔を下か
ら撮られる。とても高慢な人物に見える。
ラビーフは、原作では「ラビーフと発音した
が綴りはラブーフだった」というように書か
れている。映画では「ラビーフ」で通してい
る。確かに、これは省いて良いことかもしれ
ない。ちょっと面白いので、もったいない気
もするが。
そういえば、原作ではマッティがネッド・ペ
ッパーに、盗んだ小切手にニセのサインをさ
せられる場面がある。ペッパーは読み書きが
できないのだ。学識の高さがマッティの高慢
さを助長する。映画ではコグバーンの綴りの
間違いについて指摘する程度か。これもちょ
っともったいないが、仕方のないことだろう
と思う。
マッティがペッパーに蹴倒されたとき、帽子
が取れる。マッティは、引っ張って立たされ
て歩かされたとき、忘れず帽子を拾い、すぐ
に頭にかぶせる。帽子は頭と同じ意味がある
と思う。帽子を失うことは命を失うことだ。
…あれ、穴に落ちたとき、マッティは帽子を
被っていたか? あれ、記憶にない。もう一
度見直さなければならない。
そういえば、原作では穴に落ちたとき、マッ
ティは、ナイフでなくシャツを手に入れたく
て死体をたぐり寄せる。チェイニーを見つけ
てから、マッティは武器に手を染めている。
そう考えると、ナイフを求める展開は自然だ
と思う。
初めの方にある縛り首の場面、保安官が優秀
な連邦保安官の名前を挙げる場面、コグバー
ンの裁判…このあたりですでに善悪の境が曖
昧になっている。単に祭り上げられたモノが
「悪」に過ぎないと言うこと。映画を最後ま
で見ても、チェイニーが「悪」であるかどう
かはわからない。しかしトラッシュであるこ
とは間違いなさそうだ。
南部の話、ローレンスの大虐殺の話とか、い
ろいろ面白い。調べてみると、この映画につ
いての思いが深まるなあと思う。噛めば噛む
ほど味が出る映画だと思った。