2011年03月31日

#166 映画館憑依日記 2011.3.18『トゥルー・グリット』

3.18金『トゥルー・グリット』

【内容の詳細に触れていますから、映画を見ていないなら注意してください。念のため。】

**映画館が自粛モードで、夜遅くの上映を
しなくなった。仕事が終わってから映画を見
にくくなった。いつまで続くんだろ。ちょっ
と今日は帰らないといけないんです、って言
って仕事抜け出して新宿武蔵野館で『トゥル
ー・グリット』見に行った。

アカデミー賞を派手に逃した話題作だから、
人がたくさんいた。しかしね、整理券1番な
んだよふふふふ。朝、会社行く途中にわざわ
ざ寄って整理券撮ったんだもーーん!

朝の武蔵野館は面白い。受付のおねーさんた
ちが一斉に整理券のナンバリングをタンタン
打っている。「仕事ができる」感じだ。

仕事抜け出して駆けつけたから、お腹が減っ
た。ビールは買ったんだけど。売店を見たら、
スナイダースのプレッツェルを売ってた。ハ
ラペーニョ味を買ってみた。…からーい、で
も、うまーい。


マッテイ・ロス役の女の子は、顔を下から上
に見上げるように撮られることが多い。だか
らやけに鼻の穴が目立つ。ストーンヒルとの
交渉の場面が印象的だ。ラビーフと寝室で相
対する場面も、ベッドに寝たままの顔を下か
ら撮られる。とても高慢な人物に見える。

ラビーフは、原作では「ラビーフと発音した
が綴りはラブーフだった」というように書か
れている。映画では「ラビーフ」で通してい
る。確かに、これは省いて良いことかもしれ
ない。ちょっと面白いので、もったいない気
もするが。

そういえば、原作ではマッティがネッド・ペ
ッパーに、盗んだ小切手にニセのサインをさ
せられる場面がある。ペッパーは読み書きが
できないのだ。学識の高さがマッティの高慢
さを助長する。映画ではコグバーンの綴りの
間違いについて指摘する程度か。これもちょ
っともったいないが、仕方のないことだろう
と思う。

マッティがペッパーに蹴倒されたとき、帽子
が取れる。マッティは、引っ張って立たされ
て歩かされたとき、忘れず帽子を拾い、すぐ
に頭にかぶせる。帽子は頭と同じ意味がある
と思う。帽子を失うことは命を失うことだ。

…あれ、穴に落ちたとき、マッティは帽子を
被っていたか? あれ、記憶にない。もう一
度見直さなければならない。

そういえば、原作では穴に落ちたとき、マッ
ティは、ナイフでなくシャツを手に入れたく
て死体をたぐり寄せる。チェイニーを見つけ
てから、マッティは武器に手を染めている。
そう考えると、ナイフを求める展開は自然だ
と思う。

初めの方にある縛り首の場面、保安官が優秀
な連邦保安官の名前を挙げる場面、コグバー
ンの裁判…このあたりですでに善悪の境が曖
昧になっている。単に祭り上げられたモノが
「悪」に過ぎないと言うこと。映画を最後ま
で見ても、チェイニーが「悪」であるかどう
かはわからない。しかしトラッシュであるこ
とは間違いなさそうだ。

南部の話、ローレンスの大虐殺の話とか、い
ろいろ面白い。調べてみると、この映画につ
いての思いが深まるなあと思う。噛めば噛む
ほど味が出る映画だと思った。


posted by TcinemaholicT at 09:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月30日

#165 映画館憑依日記 2011.3.17『終わってる』

3.17木『終わってる』

**電気使いすぎるから、夕方から大規模な
停電になりそうだぞ、だから電車の本数減ら
すからな、っていう脅しに負けて会社の人が
ワラワラ早めに帰宅した。どさくさに紛れて、
早めに帰った。

せっかくだから映画を見よう、そうだ、見損
ねていた『終わってる』を見よう、とポレポ
レ東中野へ。実は、大地震のあった日に見に
行く予定だったんだ。

脅しに負けて帰宅を急ぐ人でいっぱいの総武
線に乗って東中野に着くと、夕焼けがキレイ
だった。和んだらお腹が減ったので、ポレポ
レ近くの家系ラーメン屋でチャーシューメン
とビール。横浜出身者としてはね、東京の家
系は家系じゃないと思うんだよね!!……っ
て、がつがつおいしく食べましたけどね。

映画館に入ってみたら、まあまあの入りだっ
た。30人くらいかなあ。


ミカンの皮をぼそぼそむくシーンがある。あ
あ、この映画もそれと同じで、一度むいてし
まって中身を見ちゃったら、元には戻せない、
っていうことかなあと思った。

んー、正直、それ以上のこと思いつかない。
ちょっとソツなくまとまった、という感じを
受けた。

「青春H」のシリーズは、もっともっとめち
ゃくちゃで、作り手が面白がって作ればいい
ような気がする。極端に言えば、今までの日
本映画の作り方とは違うモノを試してみたり。
…まあ、観客の勝手な物言いに過ぎないのだ
けど。

まあ、そう考えると、『終わってる』のラス
ト近くで監督自身が出演するシーンは、いち
ばん面白いところかもしれない。あそこは妙
に印象に残るよ。意味わからないし。

「青春H」というシリーズ、そろそろ飽きて
きた。ブランド名が先行し始めると、いいこ
とがないよね。ちょっと趣を変えた方が良い
んじゃないかと思う。


posted by TcinemaholicT at 08:50| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月29日

#164 映画館憑依日記 2011.3.16『台北の朝、僕は恋をする』

3.16水『台北の朝、僕は恋をする』

**前日、病院に行くんで仕事を休んだ。そ
したら、途中から強制的に自宅待機になった
らしい。放射線が怖いからか。で、今日も自
宅待機みたいだよーっていう話だったのに、
早朝に解除されたらしい。そんなこと、今更
言っても遅いからね、もう映画見に行くつも
りで仕事なんかする気ないからね、って独り
ごちて、なんだかんだ言い訳して休んだ。で、
新宿武蔵野館で『台北の朝、僕は恋をする』
を見る。

行くのに苦労した。強風で飛んできたビニー
ルシートがからまったとかで、電車がしばら
く止まった。間に合わないんで、次の回に。

暇だから、新宿タカシマヤまでお散歩。上の
そば屋で天ぷらでビール。それから、ちょっ
と下に降りて九州の物産展。人が少ない。気
の毒だ。おいしいけんね、ってしきりに誘わ
れて、仕方ないので、牛乳を買って飲んだ。
確かにおいしかった。アップルパイがうまそ
うでじろじろ見てたら、ここはダックワーズ
発祥の店でございます、っていうからうれし
くなって、アップルパイとダックワーズを買
ってしまった。人が少ないから、みんな親切
だ。

映画館は、10人くらいはいたのかな。時間帯
から考えて、まあ、入った方だと思った。


まず、レコードに針を置く音がする。曲が流
れて映画が始まる。懐古趣味な虚構が始まる
のかと思ったら、とんでもなかった。始まっ
たのは、色鮮やかな、おもちゃ箱みたいな、
一晩の夢だった。

色彩感覚が素晴らしいと思う。ラストの、ア
ンバー・クオが本屋の棚の前にいるシーンは
必見。おそらく、本棚の本の並びは意図的だ
と思う。台湾の国旗とフランスの国旗のカラ
ーがちりばめられているように見える。その
前に立つアンバー・クオのカーディガンの青
がキレイだ。そのあと現れるジャック・ヤオ
の着ているパーカーと、アンバー・クオのレ
ギンスの色が同じ芥子色。

夢の終わり際が美しい。ジャック・ヤオが黄
色いタクシーに乗って去り、見送ったアンバ
ー・クオは青くて暗い部屋に帰る。水差しか
ら水をくんで、それを持ったまま窓からの朝
の日差しの中に立つ。美しいシーンだと思っ
た。

ラストの10分間は特に素晴らしいが、それ
までも、もう筆舌に尽くしがたし。映画は、
ひとときの夢だと思う。どうせ見るなら、こ
ういう夢が良いなと思った。傑作であること
は当然ながら、忘れられない大好きな映画の
一つだ。

posted by TcinemaholicT at 08:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。